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紙草履
京都市山科区の小金塚という地区で
毎夜民家の玄関先に紙で作られた草履が届けられるという出来事がありました。
紙草履は民芸品のように綺麗につくりこまれていたそうです。
最初のうち紙草履を届けられた家の人は、
それが何なのかはよくわからずにさして気にもとめていなかったのですが、
たびたび届けられるその紙草履は日を経るごとに数を増し、
さすがに薄気味悪くなりました。
そこでこのことを人に話したところ、
同じように夜毎紙草履が玄関先に届けられた家が他にもあることがわかりました。

こうして話が大きくなっていき、土地の古老の知るところになったのですが、
この人は即座に紙草履に秘められた意味を読み取ったそうです。
曰く「足封じ」の呪いであると。
事情を知る古老は、この呪いをかけられた人間はどこにも逃げることが出来ず、
そのまま衰退していくのだ、と語ったそうです。
やがてこの出来事を看過できないと判断した山科警察署が
動くかもしれないというところまで騒ぎが大きくなり、
「事件」の経緯がマスコミに報道されるまでになったのですが、
結局誰が夜毎呪いの紙草履を届けていたのかを特定するまでには至りませんでした。
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